川柳ねじまき#3


いよいよ5月。
連休もそろそろ終わり。
皆様にはどんな連休を過ごされたことでしょう。
私はのんびりと家にいて事務作業。
ということで、まずはこちらの話題から。
と言ってもすっかり時期を逸してしまったかもしれませんが、
事あるごとに読んでいる私にとっては時期なんか関係ありません。
「ねじまき#3」。
じっくり読ませてもらいました。
そして、一句ずつ、いいなと思った句を選ばせていただくという
おこがましいことにも挑戦してみました。


「ととととと」 なかはられいこ

魚の腹ゆびで裂くとき岸田森

岸田森という役者、うっすらとした記憶をたどるとき、どこかねっとりしている。
そうだね、魚の腹を裂くゆびに、魚のはらわたと脂がまとわりつくんだよね。)

「探しつづける」  中川喜代子

夜つれて水族館をねむらせる

(夜と水族館の組み合わせに参った。気怠くて静かで秘密めいていて。
⦅つれて⦆を⦅攣れて⦆と読むとまた別な貌が見えて楽しい。)

「通過中」  瀧村小奈生

愛じゅせよジュークボックスからじゅせよ

(このたどたどしさとジュークボックスのレトロ感が切ない。去年亡くなった知人がジュークボックスが好きで、いきつけのスナックでよく聞いていたとか。全くの個人的理由でイチオシの一句。)

「いっぷく」  妹尾 凛

きつねにばかされないようにいっぷく 

山岸涼子の漫画にこんな場面があったような。山で道に迷った人が車を止めていっぷくして、
無事に山から抜け出すのだが、山中に車を止めていっぷくするさまが滑稽で切実で印象的だった。)

「クリストファー」  魚澄秋来

振り返るさっきあがってきた沼を

(怖い。沼というおどろおどろしさもさることながら、やっとあがってきたそこを
振り返るなどと、まるで傷口に塩みたいで、みていられないものがある。)

「注意書き」  安藤なみ

振り向くと急に静かになるきしみ

(⦅だるまさんがころんだ⦆という遊びがあった。鬼が振り向くまでのわずかな時間の自由。
 身動きの取れない姿勢での鬼は怖いし、きしみは痛い。)

「一反木綿」  犬山高木

つねられたカタチのままで立っている

(私はどうやらM的要素があるらしく、痛みのある句に弱い。つねられたカタチ(痛み)は
 痛みのままにその永遠を生きるのだろう。ちょっと甘い読みだけど痛みに免じてご容赦を。)

「飛びたい」  青砥和子

天に指させばコーヒー手渡され

(天に唾すれば自分に落ちてくるという諺に似て非なる状況がおかしみを湛えている。
 渡されたコーヒーでまずは心を落ち着かせ、もう一度考え直すのもいいか。)

「ふっくらと」  米山明日歌

すれ違う私の二月だったひと

(比喩としての二月がとてもよく効いている。⦅二月だったひと⦆は読者に託されているが、
 私は叶わなかった恋物語を想像した。すれ違う時に感じた冷たさは今も変わらなくて。)

「鳥を食べる夜」  八上桐子

トンネルの灯り流れるオルゴール

(灯りが音になるという不思議な情景をどう感じていいのかわからないままに選んでしまった。
 不思議なんだけど、体が静かに音も灯りも受け入れている。)

「貴重品」  三好光明

ため息が氷あずきに混ざっている

(かき氷で好きなのは、みぞれと氷あずき。かき氷の中のあずきをため息に
 見立てたと読んだ。炎天のかき氷のあずき、少ししょっぱかったかも)

「花鳥風月語」  丸山 進

リビエラのあとに月極駐車場

(⦅リビエラ⦆の持つ詩的な響きにまず惹かれた。そして⦅月極駐車場⦆の現実的な
 言葉の持ってきかたが、手馴れた感じでありながら説得力があり納得させられた。)

「ジャンクション」  猫田千恵子

腰かけて座席沈まぬおじいさん

オルツィの隅の老人のような、死神のようなあまり表情のないおじいさんを
 想像したのだけれど、係累のいないさみしそうなおじいさんも浮かんできて困ってしまった。)

「少なくありません」  二村鉄子

靴はまだ足になじまず梔子の

(足に馴染まない靴の固さと梔子の花の固さが彷彿と浮かぶ。梔子の花といえば碁盤の足は
梔子を象っていて、第三者の口出し無用の意味もあるとか。作品全体に固さと強さを感じた。)


とまあ、怖いもの知らずに読んでしまいました。
勉強不足、読み不足はどうぞお許しください。


さて、4月も終わりのころもあれこれありました。
東京方面にいる友達が恩師、先輩のお墓参りに来て、
一日で4軒のお寺を回る墓参り弾丸ツァーに参加。
あいにくの雨でしたが、散り始めた桜と雨がお寺とお墓に似合っていて、
惜春に相応しい一日となりました。
画像は、そんなお寺の一枚です。


というところで、今日のネコ。
今日は、さばみちゃんとなーこに登場してもらいます。

さばみちゃん。娘にすっかり気を許したらしく
こんな風におなかを見せるようになりました。
でも、この間はぱんだに追いかけられて下駄箱の下に潜り込み、
三日ほど出てきませんでした。


なーこのこの目つき。いかにもザ・ネコです。
なーこはお刺身や焼き魚に目ざとくて
そういうものがあると、すぐに寄ってきておねだりします。
このお魚ももちろん焼いた後になーこにもおすそわけとなりました。


今日の美味しいもの。
友達が来た時にみんなが集まって美味しいものを食べました。
ここのお店は、新鮮な材料をとてもおいしく食べさせてくれるので有名なところです。