新子先生

ただ今、部屋の片付け中です。
ここ何年もほったらかしにしておいた、本、雑誌、川柳関係のあれこれを
やっとなんとかする気になりました。
片づけながら、ついつい読みふけってしまうこともしばしばです。
「ラ・セーヌ」という女性向けの雑誌がありました。
そこに川柳の投句コーナーがあり、毎月のように投稿していました。
選者は時実新子先生です。あこがれでした。


君は日の子われは月の子顔上げよ  時実 新子


新子先生の選を受け、雑誌に掲載されると、そのひと月は
舞い上がって過ごしたものです。


鬼になるしかないのだと鬼になる   かなえ


「鬼」という題で特選をいただきました。
評が素晴らしいのです。

「評」人生にはかならずこういう時がある。親のために、子のために、
そうして自分の恋のために。――考えあぐねた末の鬼である。
人を泣かせて幸せを手に入れた鬼は、果たして幸せであろうか。
それでも「鬼になるしかない」としたら、愛とは何とむごいものかと
思う。そう、泣かされている人生のほうがらくなのだ。
でも、らくな人生ほど退屈なものはない。


ここまで読んで書いてくだっさたことに、今でも感謝しています。
新子先生は2007年3月10日にお亡くなりになりました。
亡くなられてしばらくは、何をどう書いていいのか頼りない毎日でした。


風船は夢の高さを知っている   玉

焼かれるであろうそれでも火蛾は火へ   かなえ