風のあんだんて

今日は一日、からりと晴れてとてもいい天気でした。
きっちり秋です。
今年初めて梨を食べました。
職場の人からのおすそわけですが、とてもいい香り。
いつだったか近所の八百屋の奥さんが
「果物の食べごろは香りでわかるのよ」と言っていましたが、
今日の梨も食べごろのいい香りを放っていました。
味はもちろん絶品。甘く爽やかな果汁が口いっぱいにひろがりました。
秋の風に味があるとしたら、こんな感じかなって思いながら食べました。


あしあとをふりかえるひのかぜのいろ   高田寄生木


高田寄生木さんは、下北在住の川柳作家です。
長い間「かもしか」と言う川柳誌の編集に携わっていらっしゃいました。
いらっしゃいました、と過去形なのは「かもしか」は2002年に終刊したからです。
37年間、最後の号は431号でした。
奥様の和子さんとおふたりで続けてこられた「かもしか」は
下北と言う北の地から発信しながらも、ある意味川柳誌の雄として、
全国にその名を馳せました。
私も初期のころは大変お世話になりました。
寄生木さんは今年76歳です。
川柳人生は50年だそうです。
この間「風のあんだんて」と言う本を頂きました。
「かもしか」の編集後記をまとめて一冊にしたものです。
その文章は決して声高でなく寄生木さんの風貌そのままに、
ひょうひょうとしていて、でもしっかりと問題意識を持って、
書かれてあります。
「風のあんだんて」の送られてきた封筒に本をいたわるように
厚紙を切ったものが入っていました。
川柳を書く後輩としての私の前に、寄生木さんの背中はとてつもなく大きく聳えています。
さきごろ、川柳人生60年(!)の大友逸星さんとの合同句集を出されましたが、
その最後のページの句です。


あしあとがつづくちいさなゆきあかり   寄生木


寄生木さんは現在「北貌」と言う川柳誌を発行していらっしゃいます。
いつか南郷のジャズフェスティバルに行きたいと
目を輝かせておっしゃっていました。


海鳴りがトランペットを呼んでいる   玉

海までの道が遠いといつも思う   かなえ