津軽

仕事の帰りたまに寄る魚屋さんで、
いつからかシフォンケーキを置いています。
白い発泡スチロールのケースに乗ってラップに包まれて、
2切れで200円、ホールだと800円。
最初、魚屋さんのシフォンケーキ、なんだか生臭そうと思ったのですが、
シフォンケーキ達が「おいしそうかな…買ってくれるかな…売れるかな…」
みたいな佇まいに見えたので、試しに買ってみたら案外と美味しかったんです。
あまり甘くなく、それなりにふんわりしていて。
なにより手作り感いっぱいなのがいいです。
以来、立ち寄るたびに買っています。
お店の人が「魚屋の作るシフォンケーキを買っていただいてありがたいです」と
嬉しそうに、恥ずかしそうに言ったときがあったので
「とっても美味しいですよ。どなたが作られるんですか?」と尋ねたら、
そこの奥さんが「私です。ときどき固かったりするんですが」と
やはり嬉しそうに、恥ずかしそうに答えてくれました。
「そこが、いいんですよ」と、私。
体に心にやさしいシフォンケーキ。
いよいよ、食欲の秋です。


今、津軽が熱いです。
りんごのことでも、気候のことでもありません。
太宰生誕100年記念公演「津軽」を9/2から9/6まで開催中。
太宰治の小説「津軽」を題材とした県民参加型演劇を
津軽鉄道芦野公園駅で上演しています。
出演は太宰治を村田雄浩、女性紀行作家に川上麻衣子
昭和19年の太宰と現代の女性紀行作家が一緒に津軽を旅するという
ストーリーらしいです。
少年時代の太宰を高校2年の女の子が一輪車に乗りながら
演じると言うシーンは想像するだけでわくわくします。
でも、残念がら今回は行けません。
ちょっと時間的にきついんです。
う――ん、本当に残念!


五月の連休に斜陽館に行ったとき、帰りはもうすっかり暗くなっていました。
金木町の駅のホームで電車を待つ間なにげなくあたりを見ていたら、
ホームのはずれ、踏切のあたりに赤く塗られた笠と赤い裸電球の電柱が
ぽつんと立っているのに気がつきました。
まるで、そこだけお芝居の一場面であるかのように、
闇に赤い光がずっと灯っていました。


パレードにまぎれて渡る夜の虹   玉

かけらからかけらへ夜が乗り移る   かなえ