白露

今日も私には過ごしやすい一日でした。
今、雨が降り始めました。
今日は白露。
秋がまた一歩前進しました。


昨日美容院の帰りに食材を買いにデパートに寄りました。
もちろん、最初に本売り場へ直行です。
新刊の文庫売り場を見ると気になる本がありました。
  お江戸養生道「老雄の剣」 松岡弘一
 本邦初、癒しの健康時代小説――読めば心と身体に効く!――
この謳い文句に買ってしまいました。
弱いんです。健康関係のあれこれに。(笑)


主人公は元火付盗賊改方の同心。
隠居して野菜作りに精をだす悠々自適の日々を送っています。
貝原益軒の「養生道」に精通していますから、健康に対するアドバイス
事件と絡んで随所に出てきます。
たとえば、「養生の極意、それは人を許すこと」とか、
「人体の水不足は万病の元。出た分だけ飲むように」と
言った具合です。
でも、一番こころ魅かれたのは記憶喪失になった女の人の物語です。
おさつは大店の内儀として何不自由なく暮らしていました。
ところが、花火見物のときに事故で記憶喪失になり
三年間行方がわからなくなります。
その三年の間おさつはおいくと呼ばれ、偶然知り合った男と
つつましくも幸せに過ごしていたのです。
でも、また、事故でおいくは記憶を失いおさつにもどります。
そして、なんとかしておさつとして暮らしていたときの家に帰ります。
回りも不思議に思いながらもおさつを以前のように受け入れます。
ところが、おいくを忘れたおさつは夢のなかで自分を呼ぶ男の声を聞きます。
夫ではない男の声におさつはどんどん惹かれていきます。
そして、ある日その夢のなかの男の声に導かれるままに
家を出て、とうとうその男と暮らしていた長屋にたどり着き、
すべてを思い出すのです。



夢の中の声――こういうことあるかも知れないなと、読んだあと
ふっと思いました。


いい街だ水の匂いのする道だ   玉

約束の時間へ跨ぐ水たまり   かなえ