備前


今日は、生ぬるい風に包まれた一日でした。
午前中はお日様が明るかったのですが、
午後からぼったりした空になり、出かける用意を
していると、小雨がぱらついて傘を持って出かける
はめになりました。
今日は、以前から予約していた美容院と床屋さんエステの
日です。ちょっとしたメンテナンスですね。
春のあれこれのために、少し身も心も軽くしておきましょう。
美容院は、いつものカラーリングとカット。
伸びかかっていた髪がすっきり。
エステも気持ちよくて、途中でストンと寝入ったほどです。
その帰り、よっぽどマッサージにも寄りたかったのですが、
時間が微妙だったので断念。
と言うことで、今夜の献立に「ふくだち」を加えました。
「ふくだち」は、この辺でこの季節に食べる薄い緑の野菜です。
水洗いしてざく切りして、ざるにあげ熱湯をかけ回し
密閉容器に入れ塩を振ってしばらくおきます。
この、熱湯かけまわしとそのあとの密閉容器保存の
手順を、この辺では「ふすぺる」と言ったりします。
初めてこの言葉を聞いたとき、なんかすごくマッチして
いるなあと感心しました。
葉ワサビもそんな食べ方しますよね。
「ふくだち」の甘みと少しのほろ苦さは、いかにも春の食べ物です。
もしかしたら、デトックスにいいのかもしれませんね。


7、8年前の今頃、ひどい貧血に悩まされていました。
髪も爪もボロボロで、顔色もいかにも生気がなく、
いつも疲れた感じが抜けませんでした。
あまりにもひどいと言うことで、一泊二日の輸血入院も
経験しました。
そんなときに出会ったのが、今日の画像の「備前」です。
デパートの食器売り場で見かけたときに、涙ぐみそうになりました。
なぜだか、わかりません。
思わず手にとって何度も何度もその焼き色をなぞり、
迷わずレジに持っていったのを、はっきり覚えています。
火の色、土の色、釉薬を使わなくても艶のある地肌に、
心が落ち着きます。
このお湯のみでは水だけしか飲みません。
その水も、ちょっと奮発して「日田天領水」に決めています。
飲むとくせのないキメの細かさが、細胞に行き渡る感じです。

心や体がどうにも疲れてやりきれない時に、気に入りの器が
傍にあると、慰められこともあるのです。
春は、不調に悩まされやすい季節ですが、
メンテナンスとデトックスで、乗り切りましょう。


どれほどの毒を含んで濡れる舌   玉

耳たぶのあたりに溜まるないがしろ   かなえ