「一人で三次会」


今日は、昭和の日。せっかく桜が咲いたと言うのに、
風が強かったり、雨がぱらついたりの
どうにも不安定な天候でした。
夕方に、手紙を出しにポストまで行った帰り、
回り道をして、このあたりの桜を見てきました。
時を経た太い幹の上へ上へと咲き誇る桜は、
もう、ほとんど満開。
見上げると、青い空と桜の薄紅が春ならではの
コントラストを描いていました。
下の芝生には、風のせいなのか、小鳥のせいなのか、
まだ、花のままの桜がたくさん落ちていました。
今夜も風が強く吹いています。
桜、もう少し頑張って欲しいものです。


昨日は、職場のお祝い会が、今度はホテルでありました。
メニューはあまり覚えていません。
何しろ半分は仕事でしたから、なんとなく気ぜわしく
食べたのでした。
印象に残ったのは、裂き烏賊の天ぷらとカマンベールチーズの
フライ。どちらも面白い食感で、舌に残りました。
画像の手前は、パイ皮包みのシチュー、お寿司。
あとは、白身魚カルパッチョ、エビのお料理も何品かありました。
そうそう、ステーキも出ました。
最後には、お約束の止め蕎麦。
七時から九時半までがホテルで、その後は某所で二次会。
二次会を一時間ほどで抜けて、秘かに決めていた
「一人で三次会」をしてきました。
「一人で三次会」のお店は、初めてのスナックでした。
初めてのスナックに一人で行くのは、多分、初めて。
そこへ行こうと思っていたのには訳があるのです。
ひと月ほど前になります。
いつもの帰りの通勤バスの前の座席に座った女の人から、
嗅いだことのある香水のいい匂いがしたのです。
ふんわりと、記憶の底から漂ってくるような香りです。
何だろう、何だろうと気になってしょうがありませんでした。
記憶のなかでは、漠然と若いときの日々が渦巻いています。
そのもどかしさに、思い切ってその女のひとに声を
かけてしまいました。
「あのー、突然で大変失礼とは思いますが、今つけて
いらっしゃる香水は何と言う銘柄のものですか?」
ホント、不躾ですよね。
でも、そのひとは一瞬驚いた顔をしたものの
にっこりほほ笑んで「『№5』です」と
おっしゃってくれました。
そのひととは、この帰りの通勤バスでよく
会うひとだったのです。
もう、10年くらいも同じバスに乗り合わせていて、
でも、それまで一度も声を交わしたしたことが
ありませんでした。
同じ終点で降りるそのひとは、いつも片方の手に
大きな袋を持ってまっすぐな後ろ姿で、歩いていくのが
印象的でした。
多分、夜のお店にお勤めらしいとは、
その雰囲気から解っていたので、またまたずうずうしく
「よろしかったら、お店、どちらか教えてください」と
訪ねてしまいました。
そして、お店の場所と名前を聞いて、行くことを
約束したのでした。
それで、昨夜の「一人で三次会」となったわけです。
そのお店のドアをおそるおそる開けて
「バスのひとです」と入って行ったら、そのおんなひとは
びっくりした顔をこちらに向けて、すぐ嬉しそうにして、
招き入れてくれました。お店は、そのひとのほかに、
もうひとり同じ年くらいのおんなひとがいる、
静かな落ち着いた感じのお店でした。
そのひとは、何度も何度も、本当に来てくれるとは
思わなかったと言って、本当に嬉しそうにしてくれました。
私も、昨夜は珍しくホットウイスキー
頼んで、ほろりいい感じ。
お客さんが一人もいないそのお店で、誘われるままに
カラオケまで歌ってしまいました。
そして、気が付いたら時計の日付が変わっていたのでした。
またまた、午前様。
またまた、今日一日ぐったりしていました。
でも、懲りずにまたいつか行きます。


実は、十日ほど前から黒豆ダイエットをしています。
体重は増減を繰り返し一向に減る気配がありませんでしたが、
なんと、今日、マイナス一キロ!
黒豆の効果か昨夜のカラオケのおかげか、
誤差の範囲ではないと思いたいです(笑)


停車場の昭和動こうともしない   玉

たびびとのうしろ姿になる桜   かなえ