水無月のこと


六月に入って、ずっとずっと、いいお天気でした。
暖かいを通り越して、暑いくらいの日が続いていました。
空はカラリと晴れ渡り、太陽の眩しい日々でした。
いいお天気だと元気な私です。
元気でしたが、哀しいことがありました。
六月一日の夜に、とてもとてもお世話になった方が、
逝ってしまわれました。
享年、六十五歳でした。
まだまだこれからのお年でした。
その方のことは、去年の10月20日、このブログにも
「橋」と言うタイトルのところで書かせていただきました。
土木が好きで、コンクリートが好きで、お酒が好きで、
にぎやかなことが大好きな人でした。
食事に連れて行って貰ったり、愚痴を聞いてもらったり、
励まされたり、迷った時は背中を押してもらったり、、、。
ここに書ききれないほど、お世話になりました。

六月一日の夜に訃報を聞いて、しばらく涙が止まりませんでした。
お悔やみに行って、そのお顔を拝見しても信じられませんでした。
火葬の日、火葬場へ行く途中、生前の職場に寄って行かれた
のですが、霊柩車の後からついて行きながら、半分夢を
見ているようでした。
真っ青な空の下、欅並木の間を静かにゆっくり進む霊柩車に、
まるで、お辞儀でもするかのように、さやさやと
青葉の翳りが降り注いで、車が吸い込まれるようでした。
誰もが哀しみ、無言のときのなかにいました。


昨日のお葬式に、喪主である奥様が喪主挨拶でおっしゃいました。
「――、65年の人生を全速力で翔けぬけた人間のいたことを、
心の片隅にご記憶いただければ、幸いです――」

奥様、落ち着かれましたら、また、思い出話をさせてください。


画像は、実家の母が送ってくれた笹餅です。
旧暦の節句に毎年作って送ってくれます。
見た目はいたってシンプルなのですが、なかなかこれが
手間暇かかるものらしいです。
まず、笹の葉、これは去年の八月までの間に取って洗って、
冷凍保存しておいたものだそうです。
中のお餅は、楕円形でぺったりしています。
材料は、うるち米粉、もち米粉、砂糖を同じ分量で
混ぜて、とろ火でじっくり半透明になるまで練り、
練り上げたものに、また、うるち米粉、もち米粉、砂糖を
混ぜ合わせたものをいれてこね合わせ、楕円のかたちにします。
それを笹の葉で包むのですが、包んだものを結ぶ紐のようなものは、
スゲだそうです。スゲで結んだら、蒸し器で蒸し、
出来上がったものに水を振ると、笹の葉にお餅がくっつかないとか。
笹餅は、神様や仏様に供えます。
私は、恥ずかしながら、一度もこの笹餅作りを手伝ったことが
ありません。食べる一方なのです。
母が元気なうちに、ちゃんと伝授してもらわなければね。


命切る胸の高さを行く布団   玉

緑陰をゆっくり進む霊柩車   かなえ