「おかじょうき」 七月号


今日も、蒸し暑かったこと!
家じゅうのものが、じっとり湿気を帯びて、
不快指数120%と言ったところでしょうか。
ささやかな庭の、草木の成長著しく、その濃い緑に
底知れぬ悪意さえ感じられます。
いえ、多分、庭の手入れをほっといた、私の罪悪感の
せいかもしれません。
でも、ほっといてよかったことひとつ。
どこから運ばれてきたのか、庭の隅っこに山椒の木が
ひょろひょろと育っていました。ラッキー!
大事に、見守りましょう。


さて、「大阪、行ってきました!」を何とか書き終えて、
私のたましいも、やっと大阪から帰ってきたようです。
ということで、「おかじょうき」7月号のことを書かせて
ください。
今回は、「川柳ステーション 2010」の掲載号です。
まず、大会の特選句から。

席題「メガネ」  奈良一艘 選  

特選  メガネがポツン 父が名前を忘れた日  三浦蒼鬼    

  「メガネ」  岩崎眞理子 選

特選  眼鏡三つかけて花子は発酵す  横澤あや子

宿題「無」  佐藤俊一 選

特選  靴下の穴しかぼくに無い逃げ場  工藤青夏

  「無」  横澤あや子 選

特選  ゼロだって美学 葱の小口切り  斎藤あまね

宿題「鎖」  きさらぎ彼句吾 選

特選  ジャラジャラと香典袋 のし袋  濱山哲也

  「鎖」  前輝 選

特選  くさりがまブンブンきみにきめました  伊藤良彦

宿題「指」  斎藤あまね 選

    柔らかな人差し指で裁かれる  まきこ

  「指」  むさし 選

    柔らかな人差し指で裁かれる  まきこ

特別選「自由詠」  畑 美樹 選

秀逸  串だんごごときに諸行無常かな  滋野さち

    きんぴらごぼう男のちょうどいい固さ  高瀬霜石

    この世のへりかあの世のへりかアゲハ舞う  関野艸太郎

    ぎこちなく笑うゴシック体である  熊谷冬鼓

特撰  そのとき口は開いていましたか 落陽  土田雅子


大会では、「川柳に未来はあるのか」というテーマで
トークセッションも行われました。
パネリストは、畑 美樹さん、佐藤俊一さん、菊池 京さん、
Sinさんのみなさん、司会はむさしさんです。
二十代、三十代の少ない川柳界に危機感を持っての考察です。
今の川柳の風潮、それぞれの方の川柳を始めたきっかけ、
そして、これからどうすればいいか。未来はあるのか。
結論には到りませんでしたが、個々の意見の中で印象に残ったのは、
畑 美樹さんの「言葉の表現には、時にえっと人を
振り向かせることがあり、そのことの魅力に惹かれて続けている」とか、
菊池 京さんの「川柳は、現実の自分から離れて変身できるのが魅力」、
佐藤俊一さんの「他の短詩文芸との交流をもっと」Sinさんの「衝撃度の
ポテンシャルをまだ、発揮していないのではないか。その可能性に挑戦」など。


では、「無人駅」(会員雑詠コーナー)から、いいなあと思った句を
紹介させてください。


わたしよりわたしを知っている手紙  ひとり静

浜田省吾の熱さに泣けた夜の風   ひらく

運勢は良いけど天気予報がね  前輝

棒読みのひとつ手前の曲がり角  まきこ

空晴れりゃわたしも晴れる揚げ雲雀  三浦昌子

泣いたってナズナの森のかくれんぼ  むさし

右足を浮かせて夏へ飛ぶ準備  守田啓子

お返事はまだかまだかと欠ける月  山田楓子

初鰹そこから先が不透明  葉 閑女

早口のつくしたんぽぽふきのとう  吉田州花

新札はきっと誰かの唾がある  安藤なみ

向かわねば風も行き場に困るだろ  熊谷冬鼓

トンネルの出口の姉の桜飯  滋野さち

春風の似合う笑顔でいて欲しい  杉山太郎

かーーーーーっと痰を 女を 人生を  Sin

本当は青空なんか許せない  土田雅子

ばっけみそ今日よりあした苦くなる  中道文子

武士でいる禁酒禁煙恐くない  成田 勲

どこまでもなまものを食うふきのとう  鳴海賢治

錯覚を見続けて居たい左の目  ひとは

ぽつねんと生きて大蒜など喰う  北野岸柳


画像は、青森市の「青森ベイブリッジ」。
大阪の帰り、電車乗り継ぎの時間まで青森の街で
ちょっと一休み。
デジカメにすれば、よかったんだけど、、。


この街のお祭りが始まりました。
今、雨が降っています。明日は、雨が止んで
余り暑くないないようにと祈っています。


濁流にあいつが二宮金次郎   玉

透明に切り裂かれるの流れるの   かなえ