「杜人」 2011春号


今日は、朝からどんよりした曇り空で、
昼近くには雨になり、すっきりしない一日でした。
それでも、ここ、二、三日の暖かさが残っていたせいで、
寒さを感じることがないのが幸いでした。
昨夜の地震とそれによる停電は、せっかく持ち直した
気持ちをへこませるくらいものがありました。
3月11日の巨大地震から毎日のように続く余震に、
地震には慣れていたはずなのに、昨夜の地震には
3月11日と同じくらいの怖さを覚えました。
夜のせいだったかもしれません。
ちょうどブログを書こうとパソコンに向かっていた時でした。
電気の消える瞬間というものは、本当にいやですね。
停電と解っていても手探りで、スイッチを探してしまう
自分に苦笑いをしてしまいました。
ラジオと懐中電灯とろうそくを頼りに、なかなか寝付けませんでした。
空には、自衛隊の飛行機が街を見廻る音がして、
道を消防自動車がやはり見廻りで走っていました。
そして今日は出勤。
いつもの時間にバス停行くと、バスはきちんとやってきて、
停電のため信号の消えた道路をきちんと走って、
職場へつきました。
仕事は停電のためできない状態なので、午前中で帰って
いいことになり、ほっと安心。
バスもまた時間通りにやってきて無事帰宅できました。
地震津波原発の事故。
3月11日を境に、毎日それらの関連のニュースから眼を離すことが
できません。


この間、仙台で発行している「杜人」2011春号が届きました。
あの災害があったのに!
「杜人」の入っている封筒を手にしたとき、心が震えました。
中には、もちろん「杜人」とそして編集人のちえみさんからの
お手紙も入っていました。
「投句者・読者・同人の皆様」とあり、その内容にさらに
感動しました。
少しだけ、内容を抜粋、掲載することをお許しください。


『3・11東日本大震災から2週間が過ぎました。青森、岩手、
宮城、福島県の海岸沿いの想像を絶する被害に、みなさんご無事で
いらっしゃるか案じております。可能な限り連絡をとりましたが、
まだご無事を確認できない方もいらっしゃいます。さらに原発
深刻な事態がくわわりライフラインもまだ復旧されていない中で
不安な毎日を過ごされて方々の健康が心配でなりません。
衷心よりお見舞い申し上げます。(中略)
 悲しみと恐怖が一日でも早くとかれ、あたりまえがあたりまえで
あった日常に戻れる日がくることを信じたいと思います。
 皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。
 また、多くの方々から励ましのお手紙や電話を頂戴いたしました
ことに厚くお礼申し上げます。  敬具』

地震のため印刷所さんも被害を受けられたそうですが、予定通りに
仕事を進めてくださったそうです。
停電のなかでのゲラの校正、そしてガソリン不足のなかでの
印刷所さんとのゲラのやりとりのことも編集後記にあって、
その誠実なありように本当に胸が打たれました。
定期的に刊行物を出版することの大変さは、普通のときでも
結構大変な時があるのに、この非常時にきちんと対応なさった
「杜人」も印刷所さんも奇跡的としか言いようがありません。
そして「杜人」の内容ですが、これもまた読み応えがありました。
「実況!『杜人句会』で、憧れの「杜人」のお正月の句会の
様子が臨場感を持って再現されていました。
本当に和気藹藹とした暖かい雰囲気に、私も泣いてしまいました。
そして、そこで出された句に元気をもらいました。
その句会での高得点句を少しだけ紹介させてください。


宿題「ラーメン」


終点が近いラーメン屋も近い   裕孝

顔を失くしてラーメン屋に並ぶ   久子

しめはラーメン男は背中   節子


宿題「浮く」


うっかりと浮いてしまった春の石   久子

見てないで浮き輪を投げてほしいのよ   ちえみ

浮いています回っています生きています   節子


席題「子どもが描いた絵」印象吟


神さまが見ている雲のすき間から   みさ子

むにゃむにゃと今年も生きていくつもり   めぐみ

八百万の神が勝手に住んでいる   逸星


いいなあ、いいなあと読みました。
むくむくと自分の中に何かが湧きあがってきました。
ちえみさん、「杜人」の皆さま、どうぞどうぞ、
お力落としをなさらずにお過ごしください。
ご健康にはくれぐれも気をつけていてください。
そして、またお会いできたらと思っています。


今日の画像、鉄腕アトムです。
昨日が確かアトムの誕生日だったはず。
この街のお菓子屋さんの店先のショーケースにありました。
偶然に通りかかって見つけたものです。

こんな風に沢山ありました。
けっこう年代物らしいです。



原発の事故を思うと悔しくて悔しくたまりません。
一刻も早い事態の収束を願ってやみません。
原子力の研究者の方々、科学者の方々、解決方法は他にないのですか。
この事態を救うのは、政治家でもなければ東電でもない、
テレビに映らない、真摯に原子力のことを研究している方々と
現場で命がけの作業をなさっている方々ではないかと
思っているこのごろです。


こちらの画像は、今日の停電の街で営業していたお蕎麦屋さん。
バスの乗り換えでおりたところで見つけたので食べてきました。

中はこんな風にろうそくの明かりで営業していました。
ちょうどお昼どきで、とってもありがたかったです。

こちらは草餅。
近所のお店に今頃しか入らないものです。
そして、このお皿ですが、地震の後デパートの特設理由あり品売り場で
買ったものです。この曲線に一目ぼれ。草餅がすんなりおさまりました。
春はさくら餅もいいけど、この緑に元気をもらいます。
元気をもらうと言えば、職場の人がこんなことを
言ってました。
何でも今8か月のお子さんが地震の日を境に、立っちして
二、三歩歩いたとか。丸山進さんのとこのお孫さんも、
寝返りしか打てなかったのが、腹ばいでほふく前進を始めたと
ブログで読みましたが、赤ちゃんも今回は危機を感じて
逃げようというか立ち向かうということだったんでしょうか。
なんか私たち大人は、もっとしっかりしなければいけませんね。



まないたの水をひたすら切りきざむ   玉

三月をさがし続けるカレンダー   かなえ