あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
ご挨拶がすっかり遅くなってもうしわけありません。
今年もこんな感じですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最初の画像は、今年の年賀状。
ボーイズに協力してもらいました。
(猫嫌いの方、ごめんなさいね。)
デザイン等は娘です。


「川柳ねじまき」#2、発行、おめでとうございます。
お正月の間、読ませていただきました。
14名、各20句がグングン迫ってきます。
去年の11月に句会にお邪魔した時にお話しさせていただいた
方々のお顔がそれぞれの作品から覗いていました。
イメージとは違う作品もあったりしましたが、20句を読むと、
やっぱりああそうだと納得できました。
今回は、それぞれの句にリレー方式で参加者全員が鑑賞を書かれています。
柳歴の浅い人もそうでない人も一緒に。
これはすごいことです。
楽しい時間をたくさんありがとうございました。
では、それぞれの方から一句ずついいと思った句を、
書かせていただきます。
拙いながら選んだ理由も少し。
「ねじまき」のルールだもんね(笑)
ただし私の心の中のやり取りなので、まとまりがないのをお許しください。



こんなときだけど鳩の脚ピンク   なかはられいこ

*こんなときってどんな時だ?例えば、鳩のいる場所で別れ話しているとか?
後ろで何か話す人の声が聞こえている。視野にぼんやり鳩の脚。
「あっ、鳩の脚ってピンクだったんだ」と妙に一人で納得している作中主体がいる。
「足」ではなく「脚」としたところに、あの皮と筋ばった鳩の脚がチラチラ。
「ピンク」って言いきっているところに醒めた感じがするなぁ。
一番寓意性のなかったところに魅かれた。


早く帰ればいいのにの西瓜   二村鉄子

*「早く帰ればいいのに」の西瓜 って読めばいいのかな?
本当に早く帰って欲しいのかな?早く帰って欲しい時に西瓜なんて出す?
どうせ帰るんだ、帰ってしまうんだ、だったら早く帰ってよ、って
拗ねているような感じもするけど。
れいこさんは鑑賞で、いいのにの」の最後の「の」について、
「たった一字で状況を名詞に一変させていてすごい」って
書いているけど、そういう風に捉えたれいこさんもすごいと思う。
「のにの」、やられました。
可愛いです。


全身に切手を貼って家を出る   丸山 進

*丸山さんの「父帰る多肉植物ぶら下げて」の句を思い出した。
その対句ではないか?帰った父がまた家を出て行く。
男の人の放浪願望?でも、切手だから大したところへは行けないんじゃないかな。
なんだかんだと言いながらちゃんと帰ってくるでしょう。
多肉植物の句がポタージュスープなら、
切手の句はコンソメスープの味わい。
川柳で言うところのペーソスが滲んでいる。


幽霊に出られた意図をお聴きする   三好光明

*そんなことうっかり幽霊さんに聴いたら、祟られそうなんですけど。
でも、親身になって聴いたらそれで幽霊さん、納得して成仏してくれるかもしれない。
この飄々とした書き方は作者の個性かもしれない。
「意図」がいい。書き方しだいではえぐい句になるところを、
「意図」にしたところでひきしまった。
礼儀を弁えた紳士的な作者の、違うお顔も見てみたいなぁ(笑)


向こうも夜で雨なのかしらヴェポラップ   八上桐子

*ヴェポラップって、あの風邪の時に胸に塗って鼻づまりとかを
楽にするお薬?
熱っぽさと湿っぽさと暗さが五感を包む。
「ヴェポラップ」の語感が心地いい。
湿っぽい、熱っぽい、ヴェポラップに
「ぽ」と言う半濁音が響く。
私ならエロい句になるところだけど、
それこそ「ヴェポラップ」のミントの爽やかさによって
さらりとした情景になっていると思った。


罰として「ど」の音だけを聞かされる   米山明日歌

*どんなことをしてそんなことになったの?
「ど」はきついなぁ。「どアホ」とか「どくされ」とか言われているの?
「ど」から「怒」をイメージしていたたまれない。
この場合の「ど」、発見だと思う。キンキン声で怒鳴られるより、
よっぽど身に応える。縛めとしてぐいぐい体に食い込んできそうだ。


行ったことのないアフリカの魔除け札   青砥和子

*神秘的でいながらリアリティーがある。
貰ったのだろうか、買ったのだろうか。
買ったとしたら、買った時の心理状態が気になるところ。
アフリカの魔除け札。おどろおどろしたイメージが浮かぶ。
「行ったことのない」と断りを入れているところに好感が持てた。
アフリカの魔除け札にとまどいながらも楽しんでいるところが
あるように思った。
アフリカの魔除け札、見てみたいです。


靴下の穴のカタチは愛知県   安藤なみ

*靴下の穴、どこにあいたのだろう。
つま先?多分、踵。
愛知県のカタチはちょっと左右対称の形だから。
お気に入りの靴下だったかもしれないな。
その靴下の穴を見て、「あらあら」と思いながらクスッと笑う作者がいる。
その作者を想像して読み手もクスッと笑ってしまう。
愛知県愛がたっぷりで、「愛知県」の表記が明るさの象徴の
ように見えて面白かった。


アスタリスクひとつ落ちてる会議室   魚澄秋来

*「アスタリスク」の意味をウィキペディアで調べると、ラテン語経由の古代ギリシャ語で
「小さい星」というのだそうだ。
会議の終わった後の会議室の床に、ぽつんと落ちていたアスタリスクは、
どこから零れ落ちたのだろう。
もしかしたら、落ちていたのは床ではなく天井なのかもしれない。
そして、天井を突き抜けて空に落ちていったかもしれない。
この句を読んだ時、一瞬、果てしない旅をしたような気になった。


家中を焦がす母さんの甘露煮   北原おさ虫

*甘露煮を作るときの濃い甘ったるさが鼻に甦る。
ジャムを作る句はあるけれど、甘露煮はあまりないように思える。
籠ったような甘さが「家中を焦がす」のだ。
そこに母さんの絶対的な存在を見る。
どっしりと永遠に母は母であり続けるのだ。
色んな甘露煮の匂いが混じり合って
絡め取られてしまいそうだ。
嗅覚に訴える句は案外少ない。


牛乳寒天わたくしを包囲する   妹尾 凛

*牛乳寒天のもやもやした白さは、私的にはエロスです。
甘くて冷たくてプルンとしていて、そんなものに取り囲まれたら、
もう、身動きが取れません。でも、いいんです。
そんなことはとっくに承知のことだから。
なあんて、勝手に物語を作ってしまいました。
あれっ、もしかしたら作中主体は牛乳寒天が嫌いなんじゃないか?
そしたら、エロスどころか逃げ場のない絶体絶命の句になっちゃう。
うん、迷わされるところがいいですね。


湯豆腐の大和魂らしきもの   瀧村小奈生

*豆腐の白さ、ゆらゆら立ち上る湯気。
湯豆腐ってお箸で掴むのにちょっとコツがいるよね。
冷ややっこでなく湯豆腐したところが、
大和魂の単純そうでいて、漠然としているところにうまくマッチしている。
言葉から姿が立ち上がる瞬間の間合いの取り方が絶妙だ。
だから、読む側もすんなり納得させられる。


アイロンがゆっくりついた船着場   中川喜代子

*アイロンと船の形が似ていることを、この句によって知らされた。
スイスイとそしてときには慎重にアイロン掛けしながら、
最後の仕上げにかかっているところだろう。
もちろん、この句は単にアイロン掛けの句ではない。
豪華客船での船旅を想像して、そこからさらに想像を広げ
作者の現在地をも示唆している。
「ゆっくりついた」のひらがな表記に、
「掌の小説」を読んだ時のようなしみじみとした気持ちになった。


何回も手に取り猫か確める   ながたまみ

*猫が好きなので、猫の句には大概共感を覚えるのだが、
この句に関して言えば、あまり共感を覚えないところに魅かれた。
普通、猫は「手に取る」とは言わない。
なのでこれは、猫をモチーフにした雑貨とか何かの柄ではないかと
思った。
それを、何回も置いては手に取りを繰り返している動作が浮かぶ。
それなのに猫の毛並みや重さが妙にリアルに感じられるのだ。
そしてなぜか、死んでしまった猫の生死を確めるような、
そんなイメージさえ湧いてしまった。


とまあ、作者の思惑は無視もいいところで勝手に読んでしまいました。


「ねじまき」には、作品だけでなく、ねじまき名物の句会の実況、
メンバーで巻いた半歌仙、気鋭の女性川柳家4人の川柳に対する姿勢を書いた珠玉の文章。
そして、「れいこさんにもなんか書いてもらいます」のコーナーと
読みどころが満載です。
れいこさんが結びに書いている「川柳という形式の端っこをひっぱったり
伸ばしたりして、確かめながら」の言葉がじんわり沁みます。

「川柳ねじまき#2」のお申し込みは
  ↓

http://nezimakiku.exblog.jp/

まで。
(表紙の男の子、羽生結弦君にちょっと似ていますよ)


去年の暮れに思い立った、片付けもの、まだまだ続いています。
最初にやったのはバッグからでした。
一昨年、ななを動物病院に連れて行った時のバッグを
ずっとそのままにしておいてました。
でも、ふっと中を改める気になり中身を全部出したところ、
ななが病院の行き帰りに食べたちゅーる、汚れを拭った濡れティッシュとともに、
封筒に入った7千円やら7千円の商品券、5千円分の図書カードが出てきたのです。
入れたままにしておいたのをすっかり忘れていたのですね。
それどころでなかった時間が甦りました。
ああ、でもななからお年玉をもらったような気がしました。
いつまでもぐずぐずしていられないんですね。
そしてやっと重い腰があがりました。
バッグを空っぽにして、ふんぎりがつきました。
あちこちにあふれていた文庫本を整理して、そのうち300冊を
ブックオフに持っていってもらったところ、5250円になりました。
洋服や布類はゴミ袋に5個、あちこちの引き出しも見直したところ、
またまた5千円ほど発見!
そしてやっと以前の広さを取り戻しました。
実は私の部屋、及びその隣のパソコンのある部屋は、
今まで、ボーイズは入室禁止でした。
ななのお骨があったり本とかが山積みだったのですが、
この整理のおかげですっきりして、今はボーイズも自由に
居れるようにしました。みんな喜んで寝たり探検しています。
その写真をいつか載せますね。

ということでボーイズから新年のご挨拶の写真を。
高いところからで申し訳ございませんが、
今年もどうぞよろしくお願いいたしますにゃん。


今日の美味しいもの。
頂き物の酒粕です。
これで甘酒を作るととても美味しいの。
どうもありがとうございました。


今日の一句。
玉さんは句会の「宝くじ」から。
私は年賀状の句です。

宝くじカバのおおきな口のぞく   玉

丙申 ハイビスカスを咲かせましょう   かなえ