「北貌」50号

今日は、風が冷たかったもののとても良く晴れて、
外に干した洗濯物もよく乾いて、気持ちのいい一日でした。
本当は「おかじょうき」の忘年句会に行く予定だったのですが、
諸般諸々の事情により、断念。
すごく残念な思いです。
弘前の新春大会には、なんとか行きたいと切望していますが。


さて、今夜は皆既月食だそうです。もう、三分の一くらいは
欠けています。最初の画像はベランダから見た、
始まる前の満月の様子。屋根に煌煌と月の光が照り映えています。



先日、「北貌」50号が送られてきました。
弘前川柳社の濱山哲也さんが「北貌50号記念川柳同夢」に
入選して、作品賞として一冊頂いたのを私に送って
くださったのです。
哲也さん、ありがとうございます。
おかげさまで、川柳の新たな作品に出会うことができました。

では、入選作品のほんの一部ですが紹介したいと思います。
「川柳同夢」は、「暗号」「野火」「柘榴」「指紋」
「自由吟」のタイトルで通巻5句の募集だったようです。
選者は50名。


大賞(30点)

まだ雨の音する傘を折りたたむ   山下タツエ(北海道)


優秀作品賞(21点)

おとうとかどうか毟って確かめる   柴田美都(福岡市)

優秀作品賞(20点)

独り住むひとりの音をふくらます   大槻和枝

とりあえず立っているのは台所   みのべ柳子

ニンゲンに触るとすべて渦になる   濱山哲也

佳作(18点)

鳥になるまでの夕焼け小やけです   柴田美都

(17点)

菜の花の駅に向かっている動悸   宮本美致代

(16点)

手花火や母の記憶のひと握り   藤田菁彦

誰もいぬ村の外れで梅落ちる   大越英子

明日があることにこだわる雪だるま   太田尚介


哲也さんは他にも

抱きしめる度に子どもにつく指紋  濱山哲也


という句で、11点を獲得しています。
全国から多数の投句があったようで、読み応えのある句が沢山でした。
編集人の寄生木さんのパワーも感じた一冊でした。



先だって約束した「はっち市」で一番心惹かれた展示の紹介をします。
襤褸(らんる)」と読みます。
ぼろという意味なのですが、単なるぼろではありません。


もう見かけることのほとんどなくなった、繕い繕いした、
農作業着や昔々の布製品の数々に圧倒されました。


この作業着の縫い目ひとつひとつに、ドラマがありそう。
つぶやきすら聞こえてきそうです。


四方の壁にもあります。


子どもの普段着だったのでしょうか。

これは汗取りとありました。
麻で織られているらしいです。


こういう感じで洗濯もの干していました。
使い勝手のよさそうな雑巾ですね。


ああ、オシメ!(笑)いかにもやわらかそうです。

こちらは南部菱刺し。

このように細かな文様です。

ほかにもまだまだ沢山ありました。
津軽こぎん刺し、庄内刺子そして南部菱刺しは、日本三大刺し子と
呼ばれているのだそうです。
それぞれに味わいがあり、そしてまた先人たちの重みというものを
感じさせられました。


こちらが津軽こぎん刺しの文様。


こちらは庄内刺子の花雑巾と呼ばれるもので、
玄関に敷かれ、玄関マットのような役目をしたとか。


一針一針、丁寧に縫われたり繕われてあるそれぞれの布製品を見ていると、
それらに関わったひと達の布への愛しさが伝わってくるのです。
有り余るほどの洋服を持ちながら、こんな風に衣類を扱ったことのない
私など反省させられる思いでした。
もう一度、タンスや押し入れ見直して、着られる服を探して
もっと大事に着なければと、つくづく考えさせられました。



今夜の月蝕、私も覚束ないながらもデジカメで写してみました。
完熟の果物のような、痛みのうずく傷口のような、
切ないものがありました。
そういえば、これを写しているとき地震もあったなぁ。
やっぱり月の影響で磁場とかが不安定になっているんだろうか。


さて、今日の美味しいもの。
茨城の友達から送ってもらった「干し芋」。
パッケージのイラスト、可愛い。
大地と太陽の恵みとでも言いましょうか、自然の甘さがしみじみとして、
滋味です。ありがとうございました。


今日の句、大会の入選作品からです。
玉さんは「輪」の題で
私は「欲」の題でそれぞれ採っていただきました。


一輪車風になれたらまたおいで   玉

欲望は確かにあったみみずばれ   かなえ