第60回東北川柳大会誌上大会



今朝は、うっすらというよりはっきり白い雪が
一面に降り積もり、寒い朝でした。
それでもまもなく溶けて、歩くのに苦労することは
ありませんでした。
これからはこういう天気の日になっていくのでしょう。
師走の風に負けないで、がんばっています。


今日の最初の画像は、そんな師走の風にさらされている
「寒風干し南部鼻曲がり鮭」を売っているお店の店先の様子です。
毎年この時期になるとここで作って売っています。
通りすがりに見る度に師走を実感するのです。


川柳宮城野社主催の「第60回東北川柳大会誌上大会」。
被災者支援の大会として呼びかけがありました。
その投句料を義捐金として寄贈するという趣旨のもと、
募集がありました。
私も投句していて、先日その発表号が届きました。
全国から465名の参加者があったそうです。
題は「希望」と「自由吟」。
それぞれ5名の選者による共選です。
栄えある大賞である、河北賞には、
奈良のひとり静さんが受賞なさいました。
それでは、各選者さんの特選句それぞれを三句ずつを
書かせていただきます。

「希望」   佐藤古拙 選

特選  ゼロの根がニョロニョロ豆の蔓になる   岩崎雪洲

    復興へ鎮守の森で櫓組む   岩松紀子

    再生紙ですが希望と太く描く   樫村日華


「希望」   渡辺松風 選

特選  生かされた命だ三段跳びしよう   野口一滴

    コンビニで買えない希望だと気付く   斎藤泰子

    フクシマの子らの瞳は負けてない   あきた・じゅん

「希望」   佐藤岳俊 選

特選  生きてゆく海があるから生きられる   桃生小富士

    ひこばえが生きよ生きよと叫んでる   丸山あずさ

    廃墟から子らの笑いが洩れてくる   坂本一本杉

「希望」   山田不及 選

特選  明日咲く花は静かな息づかい   小林映汎

    胸の樹に吊るすものあり明日のうた   田中良積

    生きぬいて希望の靴をはきなおす   青木ひろこ

「希望」   大河原滴翠 選

特選  耐え抜いた松が希望の灯を点す   佐々木孝子

    授乳する未来の夢を織りまぜて   佐藤長子

    開けてごらん広がる君の滑走路   北山まみどり

「自由吟」  大野風柳 選

特選  ひまわりが探していたのは去年の夏   岩渕たか

    流木を焚く流木があたたかい   都築裕孝

    少年が大きく見えた震災後   工藤幸紀

「自由吟」  竹本瓢太郎 選

特選  千の風母の香りとすれ違う   森 良子

    虚の実もむしゃむしゃ食べて生き残る   斎藤泰子

    幸せな蟻だ仕事を持っている   木崎栄昇

「自由吟」   森中惠美子 選

特選  生きている返事大きくしています   西 恵美子

    父は背に母ふところに日の匂い   渡邊とり

    少年が大きく見えた震災後   工藤幸紀

「自由吟」  岡崎 守 選

特選  かなしみを薄める水をくださいな   ひとり 静

    にんげんの根っこを持ってくる仲間   前田伸江

    群集の風に鎖の音がする   引地紀代子

「自由吟」  雫石隆子 選

特選  ひらがなでかあさんと書く星の夜   あきた・じゅん

    良心はいつも途方に暮れている   藤原鬼桜

    かなしみを薄める水をくださいな   ひとり 静



入選句をこのように入力しながら、あらためて哀しみの深さを
思い知っています。すべてが震災句とは限らないけれど、
これらの句の根底にはやはり、祈りが漂っていると思うのです。
本当に本当に、3.11が悔しい。


この秋から冬にかけての写した画像を載せます。
見てやってください。

お日様が出ているのに霙っぽい雪が降っていました。
向かって右の上の方写っている輪のようなもの、なんかの反射?



道端の末枯れた光景にも心惹かれました。
ホント、変なとこばかり見てるよね。
こんな風に、あちこちのものに気を取られて、
そのたびに足を止めるのものだから、娘と一緒のときなんか、
呆れられています(笑)。

さて、今日の美味しいもの。
最初の画像の「寒風干し南部鼻曲がり鮭」の切り身です。
買ってしまいました。
岩手県普代村の鮭だそうです。
以前に人生の先輩が「鮭は海から河に上がるとき、河口で河の水を
ひと口、ふた口飲んだところを捕まえたのが、美味しいんだ」って
言っていました。
普段は北洋産の中辛の紅鮭を食べていて、
この南部鼻曲がり鮭、実は今回初めて食べました。
塩漬けにして風にさらした鮭の味、想像以上の美味しさでした。
しょっぱいのはしょっぱいけれど、熟成されていて鮭の身と
混沌と混じりあっています。
世間で言うグルメとは違う、懐かしさをかみしめると言ったら
いいのでしょうか、野趣と言ったらいいのでしょうか、
鮭本来の味のような気がしました。
お店の奥さんが言っていました。
「結婚した時にお父さんがこれを作ってくれて
初めて食べた時、こんな美味しいものあるものかって
思ったの」。
その時の嬉しそうなはにかむような笑顔が素敵でした。
一匹買ったから、冷凍して少しずつ大事に食べるつもりです。


今日の句、玉さんは「書く」の題かなえ選で入選の句、
私は誌上大会の森中惠美子選の自由吟で採ってもらった句です。


日本刀すぱっと地平線を書く   玉

くるぶしの辺りを来たり会者定離   かなえ