ふたつの、


今日は、すっかり空が明るく透明で、秋の真ん中でした。
台風の被害の遭われた方々はいらっしゃらなかったでしょうか。
すごい雨と風で、この街が一番ひどかった真夜中は、
家がぽっきり折れるんではないかと眠れませんでした。
地震津波と災害の多い今年の、もうこれ以上何も
ないことを祈るばかりです。

最初の画像は今日の空の色。雲がのどかで楽しげで、
絶好の行楽日和ですね。
どこかにお出かけになった方もいらっしゃるでしょうね。
弘前では、東北連盟の川柳大会が明日開催されます。
今夜は、確か前夜祭のはず。
行けなくてごめんなさい。
今年の初めからの約束があって、どうしても都合が
つきませんでした。
何があったのかって?
はい、今日はこの秋の、私にとって川柳とは違う方面での
最大のイベントがふたつ、同じ会場で時間をずらして
開催されました。


ひとつは「村 次郎」全詩集出版記念会。
そしてもうひとつは、去年お亡くなりになられた恩あるひとの
「偲ぶ会」。
出版記念会は、午後一時から、「偲ぶ会」は午後四時からで、
そのふたつに、うまい具合に出席することができました。

村次郎さんは、この街のとても偉大な詩人です。
大正五年にお生まれになり、平成九年に82歳で
お亡くなりになられました。


慶応義塾大学に在学中に詩をお書きになり、
中央からも注目される才能をお持ちだったのですが、
家業を継ぐため帰郷、家業の旅館業のかたわら、
沢山の詩を書かれました。でも、発表されたのは
ほんの一部にしかすぎません。それを今回、
未発表も含めて全詩集の刊行ですから、待望の詩集と
言えるでしょう。

こちらがその詩集。上下二巻3,900円(税込)。
出版に携われた「村 次郎」の会の皆さま、
本当にお疲れ様でした。

何しろ、この街の著名文化人のほとんどが出席する
そんな大きなイベントに、わたしごとき
若輩者が出席できるのも、えんぶり人形作家の
高橋寛子さんのお誘いによるもの。
緊張するのをお察しください。
村次郎さんに生前お会いしたのは、ほんの2、3度しか
ありません。
遠い遠い昔、10代の終わりのころです。
その頃はお話することもなく、ただ、怖い小父さんというのが、
私の無知ゆえの悲しさの印象でした。
でも、その小父さん(ごめんなさい)がすごい詩を書いていたんですね。
最初に知った詩は


Mass−game


マスゲーム
マスゲーム
まちがった少女
まちがった少女


ああ、これは私のことなんだ、
間違ってもいいんだと、
泣きたくなったのを今でも覚えています。


詩集「風の歌」の詩もいいです。


序章

風よ おまへは
確に人間だけを吹いてゐる時がある


に始まって、20篇の詩が続き、
終章とある


終章

風よ おまへ
おまへは知らなかった 僕のことを


をあるのを読んで、ふっと肩の力が抜けたのを
心地よく思ったものでした。


そんな村次郎さんがお好きだった「墓獅子」の舞というものを
今回、初めて見ることができました。
「墓獅子」というのは、8月14、15日に先祖供養のために
お墓で獅子の舞うもので、この街でもごく限られた地域の
伝統行事です。

こちらが、今日の墓獅子の様子です。
噂には聞いていても私は見たのは今日が初めて。
だってお盆の14、15日と言えばこちらも
大忙しの日ですから、外出なんてできませんもの。

哀調を含んだ掛唄に会場がしんとしました。

なんて言うんだろう、言葉に出来ない悲しみが、
この真っ黒な眼に籠められているのではないかと、
胸がふさがれる思いでした。
実際にお墓の前で舞われるのを見たいと切に思いました。


そうそう、今回のこの出版記念会に、青森から、吉田州花さんと
福田文音さんが出席してくださいました。
やはり、高橋寛子さんのお誘いによるものです。
同じテーブルで、楽しい時間を過ごすことができました。



さて、もうひとつの「偲ぶ会」です。
秋田から奥さまがいらしてくださり、和やかで穏やかな
ひとときを過ごさせていただきました。
参加者の方々は、未知の方も既知の方もそれぞれに
故人の思い出話にふけり、テーブルスピーチでは、
「内緒話」も暴露(笑)され、本当にお人柄の偲ばれる、
いい会でした。
私も思いがけなくテーブルスピーチを振られ、
話の途中で泣きそうになりましたが、
なんとか堪え、笑ってもらうこともできて、
無事務めを果たすことができました。
「故人の穏やかな笑顔と優しい声は、今でも私の心の
支えです。」と締めくくりましたが、本当に早すぎる死が
残念でなりません。


さて、川柳です。
高橋寛子さんのご主人で画家の村上幹夫さんと州花さんから、
おとなしいかなえの句はつまらないと、厳しいご指摘を
受けました。
「わっ、これなんだ!」と手に取ったら
放りだしそうな句を御所望だそうです。
だそうです。。。
これだから、川柳はやめられませんね。


こちらは、秋田からいらした奥さまにいただいた
お土産。もろこしは秋田の名物ですね。
奥さま、わざわざ持ってきていただいて
ありがとうございました。



私の句、全然まだまだだな。。。


ダンプカーダダダダダダダと泣いてゆく   玉

指みんななまあたたかくくずされる   かなえ