おかじょうき 八月号

お盆休みに入ってからめちゃくちゃに暑い日が続いています。
全国的にも暑いので、やっと一緒に暑いと言えます。
皆様はこの暑さ、どのようにお過ごしでしょうか?
熱中症などになられませんように、くれぐれもお気をつけください。
最初の画像は、お盆休み初日に実家のある野辺地町馬門に行った時に
写したもの。対岸の町に見えるのは風力発電所。いつの間にーと言う感じでした。
昔は何もなかったような場所にいきなり近代的なものを見て、
一瞬、風の谷のナウシカを思い浮かべました。
この国のエネルギー情勢はどうなるのか、改めて考えされた光景でした。
さて、「おかじょうき」の八月号が届いています。
今回は「0番線」の誌上句会の結果発表と、「川柳ステーション2013」の
掲載号でもあり、もりだくさんの内容で読み応えがありました。
では、まず「0番線」の方の上位入選作品から書いていきます。

「香」 瀧村小奈生 選

秀逸  鰻屋の前に大人の猫といる   須藤しんのすけ

    ポキポキと折れて香木らしくなる   中村みのり
  
    焼香の列に並んでいる故人   三宅保州

特選  ひとおもいに変わろうなんて胡麻油   熊谷冬鼓


「香」 むさし 選

秀逸  どくだみに香りの手錠かけられる   徳永 怜

    好きでした水の匂いのするボタン   中村誠

    鍵盤のラの音バニラエッセンス   吉松澄子

特選  ここからは摺師の仕事青葉闇   笹田かなえ



「川柳ステーション2013」の上位入選作品にいきます。

席題は「印象吟」でした。特別ゲストのくんじろうさんは、
2010年に詩のボクシング全国大会のチャンピオンです。
その時の作品「兄ちゃんが盗んだ僕が手伝った」をご本人の
朗読によるものでした。子どもの頃、お兄さんと西瓜を盗んだという
実話を詩にしたものですがリズミカルでリアルで、聞いていて
切なくなったものでした。

では、その席題の上位入選句から。

「印象吟」 酒井かがり 選

秀逸  虫喰いの地図に蛍の墓がある  千島鉄

    私はワタクシだけのズボンはく   北野岸柳

    どの道行っても西日に炙られる   きさらぎ彼句吾

    ニュートンの法則ヒトは堕ちたらあきまへん  奈良一艘

    山から逃げていつもの山に辿り着く   岩崎雪洲

特選  パンツまでもぐり込んでる入道雲   野沢省吾

「印象吟」 奈良一艘 選

秀逸   ボクだってこんなに狡いサクランボ   岩崎眞里子

     転がってやがて夕陽のこども達   角田古錘

     どの道行っても西日に炙られる   きさらぎ彼句吾
  
     少年の輪切り スイカの絞り汁   岩崎雪洲

     「ふるさと」の「と」で泣いたほうが負け   Sin

特選   本棚に隠したままの兄の踝   くんじろう


宿題 「○」 笹田かなえ 選

秀逸   マンホールでピーターパンと擦れ違う   大澤 香

     いつかきっとどらえもんの耳買いに行く  須藤しんのすけ

     ○ふたつどちらが出口なんですか   ひらく

     原石や水に打たれてゆきなさい   斎藤あまね

     ××も次が○なら柝が入る   奥崎倭子

特選   ケンケンパ 水が澄んでた頃のこと きさらぎ彼句吾


宿題 「二」 斎藤あまね 選


秀逸   二等分する太陽も大福も   田久保亜蘭

     眼裏の画布をラクダが二度よぎる   白川 莫

     無蓋貨車両手で亡母を葬った   坂本勝子

     片方の海を愛したばっかりに   Sin

     二十戦全敗 月はもう出たか   奈良一艘

特選  太陽を二カ所つまんだことがある   坂本勝子


宿題 「燃」 むさし 選

秀逸   サイコロにゼロなどあって五月の修司  吉田州花

     衿足の給油タンクが開かない   坂本勝子

     火葬場の燃焼ボタン赤過ぎる   土田雅子

     空っぽのコップの中が燃えている   宮古中子

     目隠しをされて燃えさし持たされる   熊谷冬鼓

特選   くろぐろとガラスの箱に閉じこもる   笹田かなえ


特別選 「自由詠」 くんじろう 選


秀逸   あんたまだ金魚掬いをしてたのね  きさらぎ彼句吾

     ショッキングピンクの傘で受けて立つ   林 順子

     七月の雲花魁の洗い髪   笹田かなえ

     △に広がる方が船である   守田啓子

     同居人の耳の形をまだ知らぬ   渡邊こあき

特選   コーヒーの御代りしての紙ずもう   ひらく

本当は全部書きたいくらいにいい句や面白い句がたくさんあって、
この大会に参加できたことによって、これまでの屈託が払拭された気が
したものでした。
その、気になった句をちょっとご紹介。

「印象吟」 バールのようなもので輪郭は残す   酒井かがり

「○」   ヌ―ブラを着けて遊覧飛行船   くんじろう

「自由詠」 羯諦羯諦波羅羯諦 秋刀魚の苦いとこ   Sin


私が特選にいただいた「ケンケンパ」の句ですが、
「ケンケンパ」だけで、もう充分「○」という題を満たしていると思いました。
ケンケンパの明るい口調、この遊びの弾むような仕草が体に甦り、
五感で体感できたのでした。
そうそう、なかはられいこさんが自身のブログ「そらとぶうさぎ」で
「おかじょうきを読む」という一文を書かれています。
この「香」について、そしてトークセッションについて、
忌憚のない一文ですので、是非お読みなってください。

http://soratokito.exblog.jp/

そして、今回「香」の選をなさった瀧村小奈生さんも
自身のブログで選句なさった句の選評を書かれています。
とても明快な言葉で書かれた選評は、「読む」勉強になります。

http://www.bstgakuin.com/2013/08/15-113744.php


お盆休みも今日で終わり。
ともかく暑いお休みだったけれど勤めに出ていたら
ななが心配だったろうから、家にいられて良かったとしみじみ思いました。


ここでお詫び。
前回、「なながしろだった頃」を書くと予告しましたが、
ちょっと夏バテでうまく文章がまとまりません。
ごめんなさい。
この次こそ書きたいと思いますので、楽しみにしていらした方、
どうぞ、お許しください。

では、ななと一緒の夏をごらんください。

つつじの植え込みの下でお昼寝。
ここにいる時は、気温が三十度以下の時が多いかな。
そばに水入れを置いておきます。
水入れはここの他にも四カ所ほどに置いてあります。
それらを朝、昼、晩と取り換えるのもまた一仕事(笑)

ここには三十度を超えたあたりからいます。
お隣の塀とのわずかなすき間を通る風が意外と気持ちいいのです。
でも、ガンガンに暑い時は、ご近所のどこかへ行ってるらしく
姿が見えなくなります。

ときどき、トラも来ています。
親子だね。

暑くなってからのベッド。
ずっと外で寝ています。

踏み石の上におしゃもじの手を乗っけて夕涼み。

朝のうちは石も熱くないから、大好きなコロンコロン。

門の前で植木に止まっている虫か何かに注目。

暑いの、もう少しの辛抱だからね。
がんばろうね、ななちゃん。

おまけの一枚。
我が家のおかめズ。
窓辺で涼んでいます。向かって左がオスのふぅ、右がメスのひめです。
毛のある生き物たちにとって、ことさらに厳しい今年の暑さです。

今日の美味しいもの。
背中当て。
お盆の最終日にお供えします。
お仏壇に上がったお供物を背中に背負ってあちらの世界に
戻られる御先祖さまの背中が痛くないようにとのことだそうです。
某テレビ番組で紹介されたので、いつも行く食品売り場に例年より品数が
三倍くらい多くありました。


今日の一句。
玉さんの句は大会の「帽子」での入選句。
私の句は「おかじょうき」の大会でのくんじろうさんの選での入選句。


雨の日はお休み母のヘルメット   玉

妖怪になるか外郎でもいいか   かなえ